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執筆者の写真四国ルート88

9月26日 9日目 約29㎞

とても丁寧に見送られて出発。今日はいよいよ室戸岬。そして快晴、気持ちいい海沿いの道が続く。1時間くらいで汗びっしょりになり、ジーンズも腰の下まで濡れてきた。青年大師像の所で短パンに履き替える。

 

御厨人窟に入ってみると、下界とは明らかに異なる、凛とした空気が張りつめていた。

ここで売店のおばちゃんと話をする。2年前ここで数珠を買ったことや犬の話や色々。鹿児島から来ている僧侶が国道の下の岩場で、求聞持法の修行をされているとか。この前の台風の波で落とされ、場所を移して続けていると。

それから民宿の中には遍路のマナーが悪く、閉めたところもあると教えてもらった。最近はテレビでよく紹介されていて良い印象が伝わっているみたいだけど、学生とか半端な気持ち、いい加減な心構えで四国にくる輩がいるらしい。遍路の良いところや楽しいところばかりではなく、辛く厳しいところ、それに心の部分をきちんと報道しなきゃいけない。常識や静かな心、多少なりとも仏心を持って歩く場所。札所では必ずお経をあげるわけだし。この道は何万人の先人たちが歩いた、様々な思いのこもった道なんだから。

写真を撮らせてと頼むと、嫌だと言いながら撮らせてくれた。ちなみにお大師さんが求聞持法の修行をされた洞窟は、すでに削られ残っていないそうだ。

 

ひと山登って24番最御崎寺に到着。久しぶりの札打ち。境内で20才の男性と話をする。10数日しかないのでバス等を使って回るそうだ。金髪にピアス。とりあえずあいさつしたら意外に話しやすく、言葉遣いは丁寧だし控えめな人だった。そしてもう1人野宿の荷物を持った、バナナを頬張っている男性を見かける。朝ご飯のバナナかな。

 

24番を出ると車道を下る。晴れ渡る太平洋を見渡すワインディングロード。真っ青な空と海。小さく見える建物や交差点。昨日までとは全く違う景色を見ていると、長い間陽の当たる場所に出たいと思っていたんだと思った。自然と気持ちが高揚してくる。どこまでも続く海岸線。水平線もずっと遠くに感じる。海風が気持ちいい。

 

すれ違った真っ黒に日焼けして自転車に乗るおばちゃん、あいさつの声も大きくて元気をもらえる。

25番津照寺は港町にある。空に向かってまっすぐ高く伸びる石段を上がって参拝。石段の途中に竜宮城のような鐘楼門があって中に入れるようになっていた。愛染明王さんが安置されていた。納経所のベンチでさっきの最御崎寺で見かけたバナナを食べていた男性、小笠原さん(28才、青森県)と少し話した。「青森って仕事がないんですよー。」「鳥取もですよ。選ばなきゃいいんですけどねー。」みたいな世間話。

 

寺の下にある薬局で栄養ドリンクを飲む。するとビタミン剤をくれた。体力回復。

26番金剛頂寺に近くなると徐々に上り坂。傾斜がきつくなってきた頃山道へ。久々の土の道。汗だくにはなるけど実は山道の登りは好きかも知れない。納経をしてから、今度はゆっくりと小笠原さんと話をした。やたら蚊が多かった。

 

今夜の宿は、金剛頂寺の麓の民宿うらしま。米原さんも同じ。着いて順番待ちをしてから風呂に入る。明るいうちに入る風呂は気持ちいい。

夕食の時、他の2人のおじさんも一緒になる。椅子にもたれて肘ついて話すし、僕に対して、「こんな若者がいれば日本の将来も大丈夫だ」と言う。理屈っぽいし、口調は丁寧なのに態度がでかい。食べ終わったらさっさと部屋に戻る。しばらくすると今度はテレビの音に悩まされる。勘弁してくれ。明日は朝食なしで早く出発することにする。民宿の主人も雰囲気を察してくれていたようで、あ、わかったよという表情をしていた。朝食の分といって宿泊費を500円安くしてくれた。


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